宇宙にはどれほどの数の星が存在しているのでしょうか?満点の星空を眺めたときに誰もが頭に浮かぶ疑問でしょう。
我らが太陽系の属する天の川銀河には、約2000億個の恒星が存在していると言われています。
2000億という数字に圧倒されるでしょうが、それは恒星だけの話。地球などの惑星や月などの衛星を含めると2000億以上の数になります。
さらに、天の川銀河のような銀河系は人類が観測可能な宇宙空間だけであっても、約2兆個存在しているというのです。
2000億×2兆=4000垓…少しは宇宙の次元のヤバさを理解できたことでしょう。
さて、そんなたくさんの星の中には当然、変わり者も混ざっています。
前回、落下した木星の比ではありません。
そこで今回は宇宙に眠る異常な星たちをご紹介したいと思います。
まずは、太陽系に存在するちょっと変わった星でウォーミングアップを始めるとしましょう。
土星の衛星「タイタン」がそのちょっと変わった星です。
タイタンは表面温度がマイナス179度の超低温で、太陽系の衛星で最も濃い大気と雲で覆われており、地球の1.5倍の気圧がかかっています。
この星の最も興味深い点は地球と同じように液体の湖や川が流れ、そして雨が降っていることです。
とはいえ、タイタンの雨や湖は地球のように水で構成されているわけではありません。なんと、油によって構成されているのです。
地球上ではガス状のメタンやエタンと行った物質が、タイタンのやや高い気圧と超低温によって液体となって湖や川を作っているのです。
地球が水の惑星というならば、タイタンは油の惑星とも言えるのでしょうか。ちょっと変わっていますよね。
変わった雨のつながりであれば、HD 189733bも宇宙の変わり者に含まれることでしょう。
この星は地球から63光年先に存在する青い星です。一見、地球のように水で満たされているかと思いますが、この星の青は水ではなく、ガラスの原料である「ケイ酸塩粒子」によって構成されているためです。
少し、ピンと来た方もいることでしょう。そうです!この星には時速7200kmという猛スピードでガラスの雨が吹き荒れているのです。
音速が時速1200キロメートルのため、音の約6倍の速度でガラスが吹き荒れる星…行ってみたいですか?
2012年、ケンタウルス座の方向へ約430光年離れた若い恒星「J1407」に、土星のような環を持った惑星が見つかりました。
発見された惑星J1407bには先ほどお伝えしたように土星のような輪っかが発見されたのですが、その数が我々地球人の常識を遥かに上回るものでした。
その数なんと30個以上!質量は太陽系一の惑星である木星の10~40倍にもなり、全体の直径は約1億2000万kmにも及ぶと言います。
いつの日か、J1407bのスーパーリングを観に行ってみたいものですね。
お次は、漫画の世界に登場しそうなほどぶっ飛んだ惑星です。
それは「TrES-2b」地球から750光年離れたこの星は、光を全く反射しない真っ暗闇な惑星です。
木炭などの黒は入射光の約4%を反射し、ペンタブラックは約0.04%を反射しています。
しかし、TrES-2bは恒星からの光の99%以上を吸収しているのです。
さらに、恒星からわずか480万kmという近距離を周回しているにもかかわらず、これだけ真っ暗でいられるのです。
現在考えられている原因としては、大気に含まれるガス状のナトリウムやカリウムなどが光を吸収してしまうためと言われていますが、もし人類が想像もできないような物質が眠っているのだとしたら興奮が収まりません。
ここまで紹介した4つの星はどれも恒星や惑星などに引き連れられて宇宙の中を移動しています。
しかし、惑星ほどの質量を持つ天体であるにもかかわらず、恒星などの他の星の重力の拘束を受けることなく、孤独に宇宙を漂う天体が存在するのです。
SIMP J01365663+0933473がその天体です。宇宙の外れものとも言えるのでしょうか?
こういった天体は浮遊惑星と呼ばれており、この宇宙空間に数千億個ほど存在すると考えられています。
浮遊惑星は、元は主星を公転していたものの、何らかの理由で弾き出されたものや、元は恒星として輝いていた星が惑星レベルにまで質量が減少したものなど様々。
いずれにせよ、暗く静かな宇宙空間をたった1人で彷徨い続ける浮遊惑星に比べると、人間の孤独など大したことではないように感じられることです。