科学者たちは太平洋の海底の深淵の奥深くに生息する4種の新種と2つ新属を発見しました。
中部太平洋海底にはクリッパートンフラクチャーゾーン(CCZ)という広大な深く割れている地帯が450万立方kmにもわたって広がっています。ここで価値の高い金属やレアアースがマンガン塊団の中に閉じ込められて沈殿していると考えられています。
海底に潜んでいるのは古代鉱物だけではありません。水深5kmを超える非常に深い場所には、今まで知られていなかった深海生物がいくつか確認されたという研究結果が報告されたのです。
クセノフィオフォラとして知られる問題のその生物は有孔虫に分類される巨大な単細胞生物系統群に属します。
クセノフィオフォラはCCZ海底平原に沿って見られる大きな生物の中でも一般的なもので、19世紀後半からその存在が知られているものの、生息地があまりにも深すぎるため多くのことはわかっていないのです。
「4つの新種と2つの新属が発見されたことでCCZの深淵に生息が確認されたクセノフィオフォラは17種(世界全体の22%)に増えて多くのことがわかってきましたが、まだ謎のままなのです。」と英国国立海洋学センターの海洋生物学者のアンドリュー・グッデイ氏は話しています。
「太平洋のこの地帯は明らかに多様性に富んだクセノフィオフォラのホットスポットと言えます。」
今回発見された新属は潜んでいた場所である深淵を意味するアビスから名前をとってアビサリアと名付けられました。2018年のキロ・モアナ観測船でCCZ西部を調査した際に研究チームは2種のアビサリア、A.フォリフォルミスとA.スファエリカを発見したのです。
これらのクセノフィオフォラにはテストと呼ばれる小さな粒子が結合してできた殻があります。アビサリアの場合、この殻はスポンジ状の針状体でできており明確な表層というものではありません。A.スファエリカは球体でモジャモジャしたタンポポのようです。一方A.フォリフォルミスは平たい葉っぱのような形をしています。
モアナミナと識別された新属はハワイ語のマオリ語、ポリネシア語で『海』を意味する言葉モアナから名付けられました。
Moanammina semicircularis は扇状の形のテストを持ち、もう一方の新種Psamminatenuisは薄くデリケートなプレート状のテストがあります。
研究チームはさらに『泥団子』のような球状の新種のクセノフィオフォラと思われるものを発見しましたが、残念なことに詳細を調査する前に泥団子状の組成は崩壊してしまいました。
崩壊の過程を画像で見る限り、CCZの深いくぼみに生息するクセノフィオフォラのデリケートな謎の生態を例えるのに泥団子のいう表現は悪くはないのではないでしょうか。
「大きさや形は違えどどこの海底にもいます。CCZに住む多岐にわたる生物群集の中でも非常に重要なメンバーであることは明らかです。」とハワイ大学マノア校の海洋学者でキロ・モアナ海洋観測船の主席科学者でもあるクレイグ・スミス氏は語っています。
「とりわけクセノフィオフォラは他の生物に微細環境や潜在的な食料源を供給しています。海底採鉱が海底のコミュニティにどのような影響を与えるか完全に理解するためにはこの奇妙な原生動物の生態を知る必要があります。」
この発見はEuropean Journal Protistologyに報告されたものです。
reference:sciencealert