人間を含むほぼ全ての生物が一時的に脳や体の活動を休止する「睡眠」を必要とします。
人類は古代ギリシャの時代から睡眠の研究を行ってるものの、睡眠のメカニズムと意義は未だ完全には明らかになっていません。
私たち人間は、人生のおよそ3分の1を眠りに費やすと言われており、睡眠の重要性が計り知れないものであること自体は間違いないことでしょう。
では、この睡眠を人間から取り上げた場合何が起こるのでしょうか?
命を落としてしまうのでしょうか?それとも覚醒状態になるのでしょうか?
今回は「眠らないと人間はどうなるのか?」についてご紹介したいと思います。
生物と睡眠の研究を探るため、人類は様々な生き物を用いて実験を行なっています。
1898年、イタリアで犬を常に散歩して連れ回すことで睡眠不足にする実験が行われました。
実験の結果、犬は十分な餌を与えられていたにも関わらず、9~17日後に亡くなり、その脳細胞や神経細胞に変性が認められたと言います。
また、別の研究ではキイロショウジョウバエを封じ込めたチューブを回転させ続けることで睡眠時間の96%を奪うという実験が行われています。
睡眠不足を強制された個体群の死亡率は、正常に睡眠をとっていた個体群の死亡率とほぼ同じで、睡眠不足がキイロショウジョウバエの生命活動に支障をきたした様子は認められなかったとのこと。
つまり、キイロショウジョウバエのメスはわずか3分の睡眠でも生命活動を維持できることが明らかとなったのです。
このように、睡眠が生命活動を行う上で重要な存在である生物もいれば、そうでない生物もいます。
では、もし人間が眠らなかったらどうなるのでしょうか。
初めは特に何も起こりません。24時間ほど経つと、あなたは元気いっぱい。と言うよりも、普段よりも絶好調な気分になります。
これは、不眠により脳の中脳辺縁系の経路が刺激されるためです。ドーパミンが分泌されて、気分が高揚し、活力に満ちているように感じることでしょう。
しかし、この幸福感はまやかしです。そう長くはもちません。
24時間を過ぎると反応が鈍くなり、記憶力が低下します。
睡眠をとらないで2日が経過しました。
この時点で体は電池切れのような状態となります。ブドウ糖をきちんと代謝できなくなり、エネルギー供給が絶たれます。
顔色が青白くなり始め、目が充血します。さらにひどいことに、顔のシワが目立ち始めることでしょう。
3日目からが本当のお楽しみ、幻覚が始まります!
レム睡眠の欠乏によって、脳が夢や悪夢を作り出します。3日が経った頃にはタンパク質、つまり筋肉を分解し始めます。
せっかく鍛えた筋肉とお別れです。体がエネルギー源を見つけ次第、使い尽くしていきます。
残っているブドウ糖、筋肉、脂肪、細胞組織、どんどんと分解されていきます。約2週間後、免疫機能が極度に低下し、普段は何にでもなかったただの風邪であっても、あなたの命を奪う可能性があります。
ついに3週間後、おそらく心臓麻痺で死を迎えることでしょう。筋肉や脂肪が多い人は、他より少しだけ長く命がもつかもしれませんが、迎える未来は同じことです。
このように人間にとって睡眠は大切なものなのです。夜更かしをするときはバイエンスを見るときだけにするように!