蚊。おそらく、たくさんの人々がゴキブリやハエと同じように蚊の存在を不快に感じることでしょう。 耳元で蚊の羽音を聞いた夜には、蚊を絶命させるまで眠りにつくことはできません。
また、蚊は人の命を最も奪っている生物でもあり、1年間で少なくとも70万人もの人間が蚊が媒介する病原体によって命を落としています。人にとって害しかないように見えるこの蚊、一度絶滅させてみましょうか。
そこで今回は地球上から蚊がいなくなるとどうなるのか?についてご紹介したいと思います。
まずは蚊を地球上から消さなくてはいけません。どの方法を使いましょうか。蚊は地球上に数兆匹と存在しています。
当然、蚊を食べる生物も存在しており、彼らに手を借りることができるかもしれません。
コウモリは何のリスクもなく蚊を食べることができます。1時間に600匹の蚊を食べることができるので、理論上は、十分な数のコウモリがいれば世界中の蚊を効率的に根絶することが可能です。ですが、何兆匹ものコウモリが空を覆うことになり、それもまた面倒なことにな りそうです。
では、遺伝子操作したオスの蚊を放してみたらどうでしょうか。
生殖不能な子し か作れないよう、オスを改造するのです。 実際に、デング熱などの感染症を媒介するネッタイシマカの繁殖を抑えるため不妊化させた雄を放出する実験がオーストラリアで行われており、蚊の個体数が80%以上減少したことが明らかとなっています。
少しばかり時間はかかりますが、十分な数の遺伝子操作された蚊が不妊の子をつ くれば、蚊はいずれ絶滅することになります。これによって蚊をこの世から抹殺できそうです。蚊が地球からいなくなると何が起こるのか。
生態系の一端を担う蚊が一掃されてしまうと、蚊を食糧とする生き物の生態が脅かされ、また一方では花粉を媒介してもらっていた植物が絶滅してしまう可能性もあるでしょう。
ですが、科学者の多くはこの世から蚊がいなくなることが環境に与える影響について一時的な影響は受けるもののすぐに他の生物によって埋め合わされ、さらによい結果を招くことになると主張しているのです。
もちろんトンボやコウモリ、カエルはかなりたくさんの蚊を食べます。しかし、蚊は他の生物の食生活において特別重要な部分を占めておらず、これらの生物は蚊がいなくても生きていけるのです。
さらに蚊がいなくなることで、蚊が媒介するウイルスによって死ぬはずであった何十万人もの人々が命が救われることとなるでしょう。結論、蚊がいなくなることで人類はハッピーになる可能性が高いのです。
そんな中、一つ悪影響を挙げるとすれば、チョコレートが食べられなくなる可能性があります。
蚊の一種であるヌカカは人を刺し、皮膚が水ぶくれを起こすことがあります。また、病原菌を媒介することもあるため、人間にとっては厄介な生物となっています。
一方で、ヌカカはカカオの花粉を運ぶ生き物でもあります。そのため、ヌカカが姿を消すと世界からはチョコレートが減少してしまうかもしれません。これはチョコ好きにとっては大打撃です。
ですので、少し冷静に考えましょう。私たちは本当に蚊を絶滅させるべきなのかと。蚊がいなくなることで人々が健康に暮らせることによるメリットよりも、人口増加によるコスト増加といった弊害がそれを上回るという見解も存在しています。
科学技術によって不用意に生態系をかき乱す必要はないのかもしれません。今後も蚊を見つけたら、叩き潰すだけにしておきましょう。