臨機応変な対応力を比べる実験でヒトがサルに完敗しました

私たちは人間が地球上の他のどんな存在よりも優れていると思いたがるものですが、他の生物と知恵比べをして負けることが時折あります。最近の例は、利口なサルの2種、フサオマキザルとアカゲザルにヒトが完敗した実験です。問題解決においては、これらの2種の霊長類がなじみがなくとも効率的な解決方法へとすぐに切り替えるのに対し、ヒトは既に知っていることに固執するということが明らかになりました。

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オンライン学術ジャーナル『サイエンティフィック・リポーツ』掲載の最新論文によると、サルとヒトが簡単なテレビゲームで対抗する実験が行われたということです。

被験者は特定のパターンをたどることを求められました。画面に表示された図形のうち、まず、縞模様の四角形にタッチし、次に水玉模様の四角形にタッチすると三角形が現れるので、それにタッチするという順序が正解です。

正しい手順をたどると報酬が与えられるという条件のもと、試行錯誤して順序を覚えます。成功すると、ヒトの被験者には励みになる歓声が流され、サルにはサルの好むバナナ風味の餌の粒が与えられました。失敗した場合は短い中断が入り、報酬はありません。ヒトには、がっかりさせるブザー音が鳴らされます。

続いて、これら2つのグループが、報酬を得るためのより効率的な方法にどれだけすぐに切り替えられるかを検証するため、三角形を各回の最初から出現させました。

サルたちは簡単にだまされることなく、いきなり三角形にタッチしてもごほうびがもらえることに気づきました。サルの合計70%が、三角形が初めて最初から表示されたときにすぐにタッチして手順を短縮した一方で、情けないことにヒトのたった1.7%(56名の内の1名)しか初回に短縮方法を試しませんでした。実験に参加したサルは7頭のアカゲザルと22頭のフサオマキザルの合計29頭です。

8回までにはすべてのサルが短縮方法を使いました。対してヒトはと言うと、1度でも戦略を変えた被験者は平均で43回目に切り替えていました。ヒトは時間の経過とともに短縮方法を使うことが多くなりましたが、報酬を手に入れるために行動を適応させることにおいては、サルの方が確実に切り替えが早かったのです。

Watzek et al./Scientific Reports 2019; CC BY 4.0

「私たちは比類ない種であり、地球上の他のどの生物とも非常に違った様々なやり方で物事を行います」と米ジョージア州立大学心理学部の大学院生、ユリア・ヴァツェク氏は言っています。「でも、ヒトは時として本当に愚かになることもあります」

認知的柔軟性(環境から得た新たな情報に基づいて行動を適応させる能力)においてはサルがヒトを優に上回ります。ヒトは、多岐の可能性に手を伸ばしたり新しい手法を使ったりはせず、効果があることがわかっている慣れ親しんだ手段の方を好むという認知的固定観念に基づいた行動をします。

「短縮方法が利用可能になるとフサオマキザルとアカゲザルは高確率ですぐに短縮方法を使って、望む結果を出していた」と研究者は論文で述べています。「効果がより小さくても一旦身に付けて慣れ親しんだ戦略にこだわりがちなヒトに優るという点で、このような行動を見せた2種のサルたちはヒヒやチンパンジーにも匹敵する」

もし、自分たちの種がサルのチームに知恵比べで負けたと知ってあなたががっかりしているのでしたら、ヒトの方が最初の段階で図形の順序を学ぶスピードが速かったという研究者たちの指摘を知っておいてほしいと思います。

これはパターンがヒトの脳により強く染み込んだということを意味するので、そのことがヒトの認知の偏りをより強化する原因になってしまったのかもしれません。とは言え、それを解明するには更なる研究が必要とされます。

ヒトとヒヒの認知的柔軟性を比較する類似の研究があります。この研究では、アトランタ動物園に来場した大人と子どもを観察した結果、7~10歳の子どもたちの半数は自分の知っているやり方を変えませんでしたが、この年齢層の子どもは大人の4倍の確率で近道を利用したことがわかりました。

私たち大人は自分で考えているほどは賢くはないのかもしれません。

reference: iflscience