ブラックホールの降着円盤、存在するはずのない場所で発見

NASAとESAは7月11日、イタリアローマ大学などによる国際研究チームのハッブル宇宙望遠鏡を使った観測によって、約1億3000万光年先にある渦巻銀河「NGC3147」から予想に反して降着円盤が発見されたことを発表した。

HST unveils a compact mildly relativistic broad-line region in the candidate true type 2 NGC 3147

https://academic.oup.com/mnrasl/article/488/1/L1/5522653

Credits: Hubble/NASA,ESA

強い重力の影響で塵やガスだけでなく、光までをも飲み込むのがブラックホール。周辺の塵やガスはブラックホール中心部へと回転しながら落ち込むが、この際に発生する数百万から一千万度にも及ぶ摩擦熱により、X線で明るく輝くのが降着円盤である。ブラックホールは光を吸収してしまい、直接観測出来ないため、降着円盤によってブラックホールの存在が間接的に確認される。

銀河の中心には大質量ブラックホールが存在する。しかし、渦巻銀河「NGC3147」の中心にあるブラックホールの活動レベルは活動銀河核としては低い状態であった。それにより、周辺の塵やガスを吸収するための重力が不十分であるため、降着円盤を生み出すことが出来ない状態だと考えられていた。

活動レベルが低い「NGC3147」のような銀河の超大質量ブラックホールの場合、周囲の物質の量が少ないことから平らな降着円盤は形成されず、ドーナツのように膨らんでいるだろうと予想されていた。今回の研究では、その予想を裏付けることが目的であったようだ。

ところが、予想とは裏腹に降着円盤が発見されるという結果となったのだ。

 credit: ESA/Hubble, M. Kornmesser

研究チームはハッブル宇宙望遠鏡を使ってこのブラックホールを観測した。その結果、「NGC3147」の中心に存在するブラックホールは太陽の2億5000万倍もの質量を持っていることも突き止めた。そのため、降着円盤はブラックホール深くに埋没しているという。

この降着円盤が観測できることを説明するのが、アインシュタインの相対性理論である。一般相対性理論によると、重力は時空を歪ませる。降着円盤は超大質量ブラックホールに非常に近いため、巨大な重力の影響による時空の歪みで検出できたのだという。今回の発見は、数少ない相対性理論を検証できる証拠という見方も可能だ。

また今回、降着円盤内部の物質が光の10%強の速度で回転していることも明らかとなった。非常に高速で回転しているため、降着円盤の回転方向が地球に向かってくる側からの光は強く、遠ざかる側からの光は弱まって見える。

この発見から、研究チームは同タイプの天体を他にも観測していくことを希望している。

reference:NASA