口の中で溶かすタイプの『針なしワクチン』が開発される

COVID-19に有効なワクチンを開発しようと競争が激化しています。見つかったとすれば、今度は生産して世界中に流通するでしょう。

Credit:Maria Croyle/CC BY-ND

私の研究チームはウイルスやバイオ医薬品を溶けやすい経口摂取できるフィルム状にして、冷蔵保存なしでも品質を安定させる全く新しい方法を開発しました。

フィルム状にするための材料は高額ではなく、プロセスも比較的簡単なので、予防接種自体も手頃な値段で提供できます。薄くてかさばらないので大量のワクチンを出荷して配布可能になるのです。

世界的に、過去十年間で改善してきているものの、いまだにワクチン接種率は低い傾向にあります。最近Science Advances、に掲載された新たな技術はワクチンやバイオ医薬品の接種を世界的に劇的に促進できる可能性があります。

私の研究チームはアメリカ国立衛生研究所から針のない常温保存可能なワクチン接種方法の開発を依頼されて2007年にこの技術の開発を始めました。

フィルム上のワクチンのアイデアは、虫やそのほかの生き物のDNAが琥珀の中でどうやって何百年も保存されてきたかというドキュメンタリーからヒントを得ました。そこからよくおばあちゃんが作ってくれた琥珀飴を思いついたのです。

とてもシンプルなアイデアでしたが、誰も試したことはありませんでした。そこで私たちは砂糖や塩といった自然の材料を製剤と混ぜて琥珀飴のような個体にする実験をしました。

まず、私たちがテストした製剤のほとんどは、フィルム状や結晶化して保存する際、その保存したいウイルスや細菌は死滅し、粉砕されてしまいました。

Credit:Stephen C. Schafer/CC BY-ND

数年にわたって450回ほどテストして、最終的にウイルスや細菌をシール状のフィルムにとどめることができたのです。

さらに生産過程の実験を繰り返し、そのプロセスの簡素化にも取り組んだ結果、生産工程にそれほど技術訓練は必要なくなります。それに加えて、早く乾燥するように原材料を改良もしました。その結果朝に大量生産したワクチンを午後には出荷することができるようにしました。

私はこの技術を使って2年以内に市場に出すためのスタートアップに関わっているのです。

保存されているワクチンは時間とともに有効性を失います。その消失率はおもに保存温度によって決まります。ワクチンの冷蔵保存を維持するのは難しく費用もかさみます。地域によっては保存がほぼ不可能なところもあるのです。

ですから、常温で保存や輸送ができるワクチンはとても好都合なのです。

このプロジェクトの一番の突破口はエボラ出血熱のワクチンプロジェクトが終わり、3年前に生産したウイルスを含んだフィルムが実験台の上の密封容器に保存されていることを見つけたときでした。思いつきで私たちはそのフィルムを水で戻し、ワクチンが免疫反応を誘発するのかどうか実験してみたのです。

驚いたことに、フィルム内のウイルスの95%以上がまだ有効だったのです。冷蔵保存ではない状態でこれほど長い賞味期限が可能なことにとても驚きました。

世界的な予防接種キャンペーンが環境に与える負荷はあまり考慮されてきませんでした。2004年にフィリピンで行われた麻疹某滅キャンペーンでは1ヶ月で1800万人の子供に予防接種を実施しました。1950万本の注射器と143トンもの針、およそ80トンもの危険性のない廃棄物(薬品のビンや注射器の包装、キャップや綿やパッケージなど)を排出したのです。大規模なキャンペーンの影響は大きいのです。

一方、私たちが開発したフィルムはワクチンがたった1枚の封筒に入っているだけで、ヘルスワーカーが配布することが可能です。一度接種すれば、接種跡1つ残さず世界中の人が健康を手にすることができるのです。

reference:sciencealert