一見したところ、キツツキがドングリを収集しているなんの害もない画像のように感じられるが、一部の人間はこの画像を実に気味悪く感じていることでしょう。
気味悪く感じる人間は、キツツキやドングリに反応したのではなく、ドングリが保管されている穴の集まりに気味悪く感じているのです。不規則なパターンで密集している穴は一部の人々に「トライポフォビア」と呼ばれる状態を引き起こします。
「トライポフォビア」とは日本では「集合体恐怖症」と呼ばれるものなのだが、「集合体恐怖症」という言葉自体は2000年中期に、インターネットユーザーがランダムに穴がたくさん空いた物の画像を投稿し、小さな穴の集合体に対する嫌悪感を比べることにより突然普及しました。
では、人々は上記の画像のような集合体に何故嫌悪感を示すのだろうか。
英エセックス大学の心理学者、アーノルド・ウィルキンズ氏はこう説明する。「あなたはあなたを傷つける可能性があるものを避けます」
様々な心地良い画像と、人々が気持ち悪がるものの画像を比べた後、最も不快な画像には共通の数学的構造がありました。そして、それらにはたくさんの小さな、はっきりと対比をなす縞、斑点、穴などの模様が隙間なくパターンのようになっている様子が写っていました。
さらに、このような模様は海中で妖しく光るヒョウモンダコや毒ヘビなどに見られると主張しています。彼は、そのような画像が潜在的な脳の部分を無意識に刺激して、他の脳の部位が「いや、それはただの木の穴だぞ」と停止をかける前に、「おい!危険だぞ!」と警告を出しているのだと推測するのです。
そして、もう一つの仮説は有機物に空いた穴は無意識に、自分の健康を損ないかねない、伝染性の病気や湿疹、吹き出物、傷、水疱などの皮膚病を連想させるためというもの。外寄生生物であるダニ、ウマバエなどにかまれたときも同様で、皮膚に小さな穴があき、斑点が密集するのです。
これらより、穴への恐怖は病気を避けるために役に立った進化上の能力の名残りであるという仮説も考えられています。
どちらにせよ、ポジティブに捉えると集合体恐怖症の方は危険察知能力が高いと言えるかもしれません。
reference:LIVESCIENCE