サハラ砂漠に住むサハラ・シルバーアントは体長の108倍の距離を1秒以内に走り抜けることができる。その特殊能力は、灼熱の砂漠に適応するためのものだった。
詳しい研究内容は、10月16日付けで「Journal of Experimental Biology」に掲載されている。
サハラ砂漠に住む「サハラ・シルバーアント」は秒速855ミリのスピードで走ることができます。
あまり凄い速度に聞こえないかもしれませんが、これは彼らの体長の108倍の距離をたった1秒で駆け抜けることのできるほど。
陸上最速と言われるチーターでさえ、1秒間に自分の身体16体分の距離しか移動することができません。ウサイン・ボルトの最高速度においては、一秒間にボルト6.2体分となります。
もしボルトが、シルバーアントの速度感で走ることができたら、時速約800キロでサハラ砂漠の大地を走り抜けることができます。
シルバーアントがこれほどまでに速いスピードで走るのには、その生息環境への適応のためであると言われています。
彼らの住むサハラ砂漠は50℃を上回るほど暑い日があり、ほとんどの生物は日中に外に出ることがありません。
しかし、シルバーアントはこの敵のいない間に食料を集めるべく、日中の10分間だけ外出します。
脚の数は全部で6本ですが、走る時は熱い砂になるべく触れないように、前についている2本の脚を上げることで4本になります。
通常の動物は体温が高くなると、細胞がダメージを受けるため、体をまともに動かすことができなくなり死んでしまいます。
しかし彼らは、巣穴から出る前に熱ショックタンパク質を体内に産出することで、極めて高い体温でも通常と変わらないレベルで動けるようになります。
また、光の加減でオレンジ色のように見えますが、実際は銀色の毛が生えています。
この銀毛は熱を伝達する赤外線の他、可視光線の反射率が非常に高く、体温が上昇するのを防いでくれます。また、熱の放射能力も高いことが分かっています。
これにより、普通のアリに比べ5~10℃ほど体温を低く保つことができるのです。
研究チームは研究の次なるステップとして、アリの筋肉組織がいかにしてその高速の走りを生み出しているのかを理解する必要があるとしています。
reference: sciencealert, newsweek