もし、あなたがミレニアル世代の燃えつき症候群、あるいは中年の危機の最中にあって、人生における意味を探しているのであれば、それが見つかるまでもうしばらく時間がかかるかもしれません。
最新の研究によれば、人生における意味を見出すピークは60歳のときだということです。先行する調査(定年退職後の男性が人生の目的を見つける方法)でも示されているように、この研究もまた、意味を見つけることで精神的充足から身体的健康に至るまで様々なメリットを得られることを明らかにしています。
ただ、人生における意味を探すことと、実際に意味があることは反比例の関係にあるということも調査から分かっており、これは腹立たしいジレンマとなります。基本的には、意味を見つけようとする人生の時期には見つけられない傾向があるのです。
言い換えれば、人生に意味を見出すのは良いことですが、意味を探すのはダメだということです。
「20代のような若い内は、一生の職業とするものや人生の伴侶、そして人として自分が何者であるのかについて迷いがあります。人生における意味を探しているのです」と論文の首席著者であるディリップV. ジェスタ氏はプレスリリースで述べています。同氏はカリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の精神医学および神経科学の特別教授を務めています。
「三十代、四十代、五十代と年齢が上がるに連れて人間関係が確立されます。おそらく、結婚していたり、家族をつくっていたり、定職に就いていたりすることでしょう。探求することが減り、人生における意味は増えます」
最高の結果が出るのが60歳のときですが、長くは続きません。
「60歳を過ぎると、事態は変わります」とジェスタ教授は説明しています。「退職し、自分が何者であるのかという認識が失われていきます。健康問題が発生するようになり、友人や親類縁者が亡くなり始めます。過去に見つけた意味が変わってしまうので、再び、人生における意味を探索し出すのです」
臨床精神医学専門の医学雑誌『The Journal of Clinical Psychiatry』で発表されたこの研究は、3年をかけて21歳〜100歳の成人1,042人から得たデータを分析したものです。
被験者は面接とアンケートで、「私は自分の人生の目的や使命を探している」「私は満足のいく人生の目的を見つけた」といった認識を表す内容がどれだけ自分に当てはまるか、尋ねられました。これに加えて、研究チームは参加者たちの身体の健康と精神的な満足度も調べました。
おそらく、意外ではないでしょうが、心身が健康な人が人生における意味を発見済みである一方で、精神的な満足度と認知機能が低い人は人生の意味を探し求めているという関連性が見出されました。
「人生における意味をより多く見つけているほど、満足感は大きく、逆に人生に目的がなく、探しても見つからない場合、ストレスで疲れ切っていると感じる傾向があります」とジェスタ教授は言っています。
当然、この研究にはいくつかの但し書きが付きます。参加者が自己申告する「人生における意味」とその定義は主観的なものです。
精神的なことに関心のある人、ない人、あるいはネット上で哲学を語る人たちの誰でも良いので訊いてみてください。人生における「意味」はそういうものではないこともあるという答えが返ってくるでしょう。
調査では、意味についての考えは主に自己定義されるとともに自己申告されたので、結果に若干、影響しているかもしれません。それでもなお、この研究は人類が共通して好奇心を持つことを明らかにしています。
意味と目的は私たちが求めてやまないもの、持ち続けたいと憧れるものであるということです。これを見つけようとして人生を棒に振らないように、それだけは気をつけてくださいね。
reference: iflscience