これは、涙なしには見られない、小さな子ネコの鼻の穴から脈動する巨大な寄生虫が引き抜かれる瞬間です。
この子ネコは鼻水とくしゃみが続く症状があり、米ノースカロライナ州のアニマル・ケア・イースト動物病院に連れて来られました。鎮痛剤で落ち着かせた後、獣医が子ネコの鼻孔の中をのぞいたところ、異常に大きなウサギヒフバエの幼虫が隠れていたのです。
「普通は長さが1cmくらいしかなく、皮膚の中に隠れているのが発見されるのですが、これは私が見た中で最大のものです……。そのうえ、鼻の中にいたのですから!」と動画の撮影者はNewsflareの記事の中で語っています。
「子ネコはもうすっかり元気になりましたよ。飼い主からも心配する報告はありません。鼻水もくしゃみもなくなりました」
子ネコの鼻の中にいた寄生虫はウサギヒフバエ属のウマバエの幼虫です。ウマバエは野生の哺乳類動物の巣穴の近くに卵を産みます。これは通りがかる動物の体にくっつくことを期待してのことですが、ペットのネコやイヌの体内で発見されることが一般的です。ネコやイヌは卵が産みつけられた場所の辺りで匂いを嗅いだときに拾ってしまうのです。ほんの少数の症例報告はありますが、ヒトがウサギヒフバエ属に感染することはめったにありません。
卵が宿主に付着した後、しばらくして孵化した幼虫は傷口であろうと耳の穴であろうと鼻孔であろうとどんな穴でもかまわず、開いているところから体内に入って行きます。通常は体内を移動して何らかの空洞の中へと入り込み、そこで栄養を摂りつつ成長します。最終的には、宿主から抜け出て地面に落ち、ほぐれた土の中へ入って行って、そこでさなぎになります。やがて羽化すると、成虫として交尾と産卵をした後にパタッ……と死んでしまう短い命です。
ウマバエの幼虫は気持ち悪く見えるかもしれませんが、普通は無害です。残念ながら、皮膚のふくらみ以外に目で確かめられる症状がないため、感染しても診断されずに放置されることが多くあります。しかしながら、さらに治療の必要となる場合があるにせよ、この子ネコへの処置で見られたように普通はこの幼虫を取り除くだけで治療は完了したとのことです。
reference:iflscience