クリスパー技術による遺伝子ハッキングを用いた盲目症の治療が初めて試みられました。
AP(The Associated Press)の報道によるとこれはオレゴン健康科学大学の医師団がレーバー先天性黒内障と呼ばれる希少な遺伝性疾患を治す目的で行なったもので、クリスパーDNA(反復配列クラスターDNA)の断片を含んだ3滴の液体が患者の眼球に直接注入されました。レーバー先天性黒内障は幼少時に視力を失う病気です。
エディタス製薬の主席技官であるチャールズ・オルブライト氏はAPにこう語っています。「私たちは根本的に盲目だった人がものを見る可能性を文字通り手中におさめたのです。」
エディタス製薬は実治療の開発に当たっているバイオテクノロジー企業です。「この件が体内に入ってDNAを変える全く新しい医薬製品の幕開けになると考えています。」
一部の遺伝性疾患は従来の遺伝子治療法でも対処可能ですが、変異した遺伝子を編集することなくそっくり置き替える方法では、レーバー先天性黒内障の患者には役立ちません。この病気に関係する遺伝子は置き替えるには大きすぎるため、医師団は障害の元となる変異部分を編集する目的でクリスパー技術を用いたのです。
プロジェクトに参加したマサチューセッツ眼科耳鼻科病院のエリック・ピアス医師は、「編集済みの細胞はその性質が持続するので、患者が生きる限り機能が続くことが期待できる」と言います。
APの報道では初めての実験が成功するかどうか1か月しないと分からないとのことですが、もしうまくいけば子供を含む18名の同じ症状の患者に遺伝子ハッキング治療が行なわれる予定です。
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