雲南省のとある村でゾウの群れがウイスキー樽を掘り起こし、飲み干してしまいました。
それまで中国雲南省ではゾウの鼻を消毒するためにアルコールを使おうというゾウはいませんでした。ゾウたちは作物を襲い、どういうわけかお酒を見つけました。そして飲みすぎてしまう羽目になりました。実際ゾウはアルコールを好み、見つけることも得意で、特にそれはハンディーヤ部族地帯では顕著なのです。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため人が多く集まる集会などは最近禁止されていますが、ウイスキーが飲み干された中国雲南省ではアジアゾウがパーティーをすることは止められませんでした。
2頭のゾウはひどく酔っ払って茶畑の中で気を失ってしまったのです。
緑に囲まれた泥のベッドに背中合わせで丸まって横たわっている酔っ払ったゾウの写真はインド森林局職員のパルヴィーン・カスワンさんが3月17日にツイッターでシェアしたところたちまち拡散されました。カスワンさんはツイッターで、野生のゾウはお酒をたしなみ、厚皮類の彼らはアルコールで『鼻の消毒』をして、その酔いを覚ますために寝ていたと言いました。
世界自然保護基金によると、アジアゾウ(学名:Elephas maximus indicus)はアジア南部の国々の草原や森に生息していて、野生では5万頭もいないそうです。
しかし、中国ではもう250頭しか生存しておらず、中国国内では絶滅の危機にひんしています、とカスワンさんはツイートしました。
別のツイートでは、カスワンさんは『シラフのとき』と題してゾウの群れが作物の畑にいる様子の写真を投稿しました。ゾウが住む森林地帯では、地元の人たちは動物たちが人間の作ったアルコールに興味があることに気づいています、とカスワンさんは話しています。例え人がお酒を埋めて隠したとしても、『どういうわけかゾウは見つけてしまう』とツイートしています。
ゾウたちは、前にアルコールを見つけた場所に『マーキング』をしてまだあるかと後で確認しに来るでしょうね、ともツイートしています。
部族地帯の人たちは地元で作ったアルコールを隠すのですが、どういうわけかゾウに見つかってしまいます。前回見つけた場所にマーキングもするのです。酔っ払った人を見つけるとお酒を分けてくれないことにイライラもします。
アフリカゾウが発酵したマルーラの実でたびたび酔っ払うという噂や逸話は以前からありましたが、科学者が10年以上も前にこれはただの神話だとしました。ゾウ程の大きさの動物(体重3000kg以上)が酔うには水を飲まずに通常の食事の400倍以上の果物を消費しなくてはならない、と2006年に Physiological and Biochemical Zoologyという学術誌に掲載したのです。
しかし、お酒やワインなどに出くわしたゾウがその甘味ゆえに暴飲する可能性はある、とスリランカのゾウの森と環境保護団体の共同設立者のShermin de Silvaさんは以前にLive Scienceに話していたことがあります。
ほかの野生動物がアルコールを飲みすぎた場合の効果は実証されています。2011年スウェーデンでヘラジカが発酵したりんごを食べて酔っ払い、木に絡まったことがSmithsonianの記事になりました。オジロジカはしばしば果樹園の発酵したりんごを食べて『よろめく』ことや『眠そう』にすることがある、とワシントンDCにある国立動物園副園長のドン・ムーアさんはNational Geographicにコメントしています。
そして私たちに一番近い霊長類のチンパンジーは発酵したヤシの実の果汁を葉っぱに浸して口の中に絞って飲むことでアルコールの味を楽しむことをLive Scienceで以前記事をご紹介しています。
しかし、どの動物よりもアルコールを摂取する動物がいます。それはマレーシアのペンテールトガリネズミです。トガリネズミの食べ物にはアルコール度数3.8%ほどの発酵した蜜が含まれており、トガリネズミは年中飲んでいると言えます。しかし、高いアルコール度数にもかかわらず、トガリネズミは全く酔わないように効率的に代謝できる体に進化してきたことを2008年に科学者が発見したのです。
reference:livescience