2月初めのある日、エクアドル最大の滝が消失しました。少し前までエクアドル領アマゾンのカヤンベ・コカ国立公園には、緑の植生と驚くほど多様な生物種に囲まれた高さ150mのサンラファエル滝が存在していました。
ところが2020年2月2日、エクアドル観光省はかつての激流がチョロチョロと流れる小川に変わってしまったと発表したのです。現地の英語ニュースソース「クエンカ(盆地)ハイライフ」によれば、エクアドル環境省(MAE)の報道官は「残念ながらサンラファエル滝はもはや歴史の遺物で、よみがえる事はない」と語ったとのことです。この急激な変化はランドサット8衛星で撮影されたNASAの画像を用い、環境省によって記録されています。
<<写真>>2020年2月撮影のサンラファエル滝(エクアドル環境省)
環境省は2月2日にコカ川付近で起きた地すべりによって川底に穴ができたとしています。川を監視してさらなる地すべりや生物多様性へのリスクに備えるため、観光客の周辺地域への立ち入りは禁じられました。
モンガベイ誌によれば地すべりの結果滝の数メートル手前に穴ができ、水が3つの傍流に分かれて下方に逃げてしまったようなのです。しかし地すべりの明確な原因については意見の相違があります。
サンラファエル滝はカヤンベ火山やレヴェンタドール火山を含む地震帯にあって、地理的な条件からすれば地すべりの自然発生は驚くにあたらないとも考えられます。しかし一方では、エクアドル最大の水力発電所を持つコカコド・シンクレアダムが上流で建設されたことが原因だとする指摘もあります。
この説によればダムは設備保全の目的で川の水を濾過するため、下流で堆積物が減って川底や土手部分が削られやすくなり、崩壊の危険性が増したというわけです。
国際自然保護組合(IUCN)で南米水資源問題のコーディネーターを務めるエミリオ・コボ氏はモンガベイ誌にこう語っています。「何千年も前からある滝が水力発電プロジェクトの開始数年後に偶然崩壊するとは考えられません。こうしたプロセスは科学論文にも掲載されており、ダムがこの種の影響を河川に与えることを示す証拠は数多くあるのです。」
reference:iflscience