私たちはここのところ社会的距離を保つことを余儀なくされ、それがいつ終わるのかも全くわかりません。ビリー・バーさんはこのような生活を50年も続けているのだそうです。彼はコロラド州ゴシックに常時滞在している唯一の住人です。
「私は市長でもあり、警察長でもあります」と彼は言い、「毎年選挙を行いますが、それがいつかは誰にも教えませんからとてもうまくいっているのです。」
彼はロッキー山脈の高度3km近くのもう使われていない銀鉱山に住んでいます。「横殴りの雪が渦まく」と現地の天気について話しています。
バーさんは社会的距離を取るコツがいくつかあるが、全く役に立たないかもしれないと話しています。
「私が最初にここにたどり着いたとき、ひとりきりになるのは安心だと感じましたが、健康な人は孤立する必要がないのです」と話しています。「つまり、私は孤立するのが得意だし、好きでやっています。私にとってうまくいくことは私にとって有益なのです。それは、きっとほかの誰にも有益ではないでしょうね。」
バーさんが仙人と呼ばれてきましたが、彼自身はそう思っていません。通りがかりのスキーヤーと交流し、電話で妹と話もしますし、ロッキーマウンテン生物学研究に勤めています。夏になると研究所の近くには、科学者でごった返しています。
しかしこの男性は何年間も山小屋に一人で過ごし、冬期には何日間も誰にも会わないこともあります。COVID-19のアウトブレイクの間、彼は家にいるのでしょうか?
「そうですね、というか何も変わりはありません」と言っています。「冬になる前には既に食料を備蓄しています。」
難しい話は抜きにして、ビリー・バーさんがオススメする社会的距離を置くための5つのメソッドをご紹介したいとおもいます。
毎日バーさんはコロラド・アバランチ・インフォメーション・センターを含むいくつかのグループのために天気を記録しています。積雪を測り始めたのが1970年代で、暇だったから、というのが主な理由でした。
「全てが天気に左右されます」と研究所の電話を使うために『横殴り』で『渦まく』雪の中スキーで移動してきたバーさんは言います。「天気のせいで制限されたので記録をつけ始めたわけです。」
また、彼は動物に出会った時にも記録をつけました。
「鳥、特に春にやってくる渡り鳥を見るとワクワクしました。”やったー、日の出だ、こまどりの声が聞こえたぞ”といった具合です。」と話してくれました。
彼の日々の暮らしにとって重要な記録をつけるということはとても価値のあることだと気づいたのです。The Atlanticという雑誌が書き、The Snow Guardianというドキュメンタリーが写したように、彼の記録が気候変動についての研究に膨大な情報を提供してきたのです。
COVID-19の最中、彼が提案するのは、あなたが食料品店で何が買えて、何が買えないかを記録するというものです。もしできたら、 CoCoRaHSという全国の降雨量を記録するプロジェクトのような市民参加型の科学研究に参加してもいいでしょう。
「そのようなものに参加するのは絶対におすすめです」と彼は話しています。「降雨量計測計器が手渡され、屋外に置いておくのです。あなたがしていることと同じことを同じ時間にする何千もの人たちのネットワークの一部になるのです。とっても楽しいですよ。」
バーさんの朝は早いです。朝は3:30か4:00に起き、ベッドの中で5:00まで過ごします。
「1~2週間前までは、毎朝ニュースを聞き、落ち込むか怒りで毎朝がスタートできたのです。一日を始めるいい方法なのです。」と言いました。
「ですが今はCOVID関連ばかりか政治とかばかりで、」と話し、もうできなくなったそうです。代わりに昔のラジオを聞いているというのです。
そして、今ソーラーパネルの雪を払って、たくさんの機関に天気情報を報告する時期です。一日のほかの時間は仕事と、細々した用事をスキーでおこないます。
「私は決まったスケジュールに従って活動します。時々今日が何曜日か忘れることがありますが、今何時なのかはわかります。」
最も重要なのは、ご褒美は一日の最後まで取っておくことです、と彼は話しています。読書をし、編み物をし、映画を観て、クリケットの試合を観戦します。
「ほぼ毎日同じ行動です。だいたいは楽しんでやっています。」と言います。
毎日のルーティンで休んでいることがあります、それは日記をつけることです。以前はつけていたそうですが、10年ほど前に読み返してみたら「とてつもなくつまらなかった。“よし、もういいだろう。ペンキが乾くのを待っているくらいにつまらない”と思った」と話しています。
バーさんは祝日や誕生日などを祝うことはあまりありませんが、1月17日の太陽があるべき地点、至点に戻る日にはお祝いします。
「私にとっては大事なことです。私は早朝に起きるのでそれよりも先に明るくなっているととても楽なのです」と話しています。
また、物資調達のため出かける片道約13kmのクレスティド・ビュートの町から帰ってきた時にも祝います。
「町はストレスの原因にもなります。ですから、気に入った映画や食事、やりたいことなどを買い溜めします。そしてスキーで家に戻ってきます、そんなときは”ヤッホー!”ビッグパーティータイムだ、といった感じです。」
時々、何かにイライラすることにちょっと満足することがあります、とバーさんは言います。
「雪には本当に嫌気がさしますが、話のネタにするのは好きです。私が住んでいるエリアは、人々が雪を求めて住む場所です。私は別にそれを求めているわけではありませんので、そのことでイライラします。」とバーさんは話します。「年齢を重ねてくると”自分が心地いいと感じないことに楽しいと感じる必要はない”と思えるようになります。」
最近、バーさんは特に不愉快な思いをしています。
「皮肉にも、私はここ9日間で接触した人が1人います、8日前のことです。」
そしてその人は体調を崩しました。
「彼が何の病気かはわかりませんが、私にうつったのではないかと心配しながら無駄な時間を過ごしました。」と語っています。(現在はインタビューからさらに1週間経っています)
彼が教える最後のコツとは…
「私は、ストレスが溜まったときは可愛いい面白いアニメ映画を観ると、忘れることができます。落ち込んだ時にはそれを繰り返します。」と言います。
「私の好みはちょっとふわっとしたものです。パンデミック?シャイニング?絶対お断りです。『プリンセス・ブライド』は超お気に入りの映画です。ヒュー・グラントの作品が好きで、『ラブ・アクチュアリー』や『ノッティングヒルの恋人』が大好きです。」
彼は『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』や『Bride and Prejudice』、『マダム・イン・ニューヨーク』のようなボリウッド映画もお勧めしてくれました。
「色彩が豊かです。可愛らしく、音楽なども良いです。特別なときに観るお気に入りリストがありますが、それはその時のためにとってあります。」
彼の映画リストのトップ357はこちらです。
20年ほど前、バーさんは山小屋に映画部屋を作りました。プロジェクター、カーペット張りの壁、そして3脚の椅子があります。
「1つは私専用の椅子で、あと2つは招待客用です、でも招待したことはありません。」と彼は言いました。
reference:npr