ベルギーの動物園でオランウータンとカワウソが住む場所を意図的に重ね合わせたところ、オランウータンの家族とカワウソの子供との間に毛皮を超えた友情が芽生えました。ベルギー・エノー州にある私設動植物園ペリデザはこの奇妙な仲間たちの写真をフェイスブックに投稿し、それが大変な反響を呼んでいます。
「コツメカワウソの家族が(オランウータンの)居住区にいるのは偶然ではありません。」ペリデザ広報のマテュー・ゴドフロア氏はライブサイエンス誌にこう語ります。オランウータン(ポンゴ属)はDNAの97%がヒトと共通しており、ゴドフロア氏によれば人間と同じく「常に楽しみ、何かに専念し、挑戦し、精神的にも感情的にもそして肉体的にも忙しくしている必要があるのです。」
そこで動物園ではカワウソ(学名Amblonyx cinereus)の親子をオランウータン居住区内の小川に住まわせました。「カワウソは水から出てオランウータンの島に上がり、大きな毛むくじゃらの友達と遊ぶのが本当に好きみたいです。両方の動物にとって生活がより楽しく興味深くなり、実験は大成功でした。」
動物間のこの珍しい友情を見て、ハリー・ポッターシリーズの著者であるJ.K.ロウリング氏の心も温められたようです。彼女はこうツイートしています。「あら私の好きな動物が2つ、一緒にお話しするなんて。もし合成したのなら黙っててね。知りたくないから。」
この動物園には5匹のオランウータンがいます。カップルのゲンパとシンタ、そして24才の父親ウジャン、15才の母親サリ、4才の息子ベラニからなる3匹の家族。ベラニは両親がドイツ・ハイデルベルク動物園から越してきた後、2017年にペリデザで生まれました。ゴドフロア氏はウジャンとベラニ父子と隣人たちとの間に「特別な絆ができている」と言います。このオランウータンはスマトラ由来の亜種で、カワウソと遊ぶ他にもいくつかプログラムがあり、「動物園の担当者が知能ゲームやなぞなぞ、パズルで一日中遊ばせたり、他のスタッフが知育にあたったり」しているそうです。
国際自然保護連合(IUCN)によればオランウータンの3つの種はいずれも絶滅危惧種に分類されています。3つの種とはボルネオオランウータン(学名Pongo pygmaeus)、スマトラオランウータン(Pongo abelii)、そしてインドネシア・スマトラ島のバタン・トル森林地帯に住み2017年に別の種であることが確認されたタパヌリオランウータン(Pongo tapanuliensis)です。野生のタパヌリオランウータンは800匹にも満たないことがIUCNによって報告されています。
2016年のIUCN報告ではボルネオとスマトラのオランウータン個体数は全部で71,820とされています。こうしたオランウータンはヤシ油採取による森林消失と密猟のせいでその大部分が絶滅の危機にあります。1990年代後半、ボルネオ島南部のオランウータンは「メガ・ライス計画」によって壊滅的な居住地喪失を経験しました。
ペリデザのウェブサイトによるとこの計画では食料自給のため100万ヘクタールの森林が米作にあてられたのですが、米は森林土壌で育たず、計画は失敗に終わりました。「計画は早期に中止されましたが森林は傷を負ったままです。もとあった植生が乾ききった土地に戻るのは不可能でしょう。」ペリデザはこう記すとともに、荒廃したボルネオの森に11,000本の木を植えるため基金を募っているとゴドフロア氏は述べています。
reference:livescience