オーストラリア沿岸沖合に結合した触覚のクローンが広範囲にたなびく様子をカメラがとらえました。地域によっては『long stringy stingy thingy(長くてヒモみたいで刺すやつ)』として知られているサイフォノフィアは生命体と臓器の境界線がぼやけています。どういうわけか、生命体にも臓器にも同時になれるというのです。
「これ全体が一つの生き物のように見えますが、より高レベルで生命体を成す何千もの個体が寄り集まったものなのです。」とブラウン大学海洋生物学者のステファン・シーベルト氏がWiredにコメントしています。
西オーストラリア博物館やシュミット海洋研究所、スクリップス海洋研究所を含む国際研究者チームによるニンガルー峡谷への研究遠征で、注目すべき深海生物に出くわしたのです。
彼らは西オーストラリア沿岸沖の生物が豊富な場所なのにまだ研究が進んでいない場所をROVsやソナーを使って探査しました。海から上がろうとしているところでこの生き物が現れたのです。
「視界に入った瞬間みんな圧倒されました」と西オーストラリア博物館の生物学者のネリダ・ウィルソン氏とリサ・カーケンダール氏はScienceAlertの取材に応えました。「とても興奮しました。船中から人が管制室なだれ込みました。サイフォノフォアは一般的に見ることができるのですが、今回のものは大きくて変わった見た目をしていたのです。」
「ROV操縦者はその長さを見積りましたが、正式に測定したわけではありません。しかし、地球上のどんな生物よりも明らかに長いのです。」と加えて話しています。
外輪はおよそ47mと推測されています。この巨大な物体はゾイドと呼ばれる小さな個体で構成されています。自らのクローンを何千回も繰り返し、いくつかある形態のうち - 針を持った触手を持ったもの、餌を引き付けるための赤いルアーを持ったもの、生殖や運動に特化したものなど - の1つの姿へとなるのです。この時個々は大きなサイフォノフィアの臓器のような働きをします。
ノース・カロライナ・アシュビル大学の生物学者レベッカ・ヘルムはツイッターでクローンの採餌について触れました。
動画のサイフォノフィアは「餌を取るために平面の姿になっているようで、らせん状のUFOのように見えます。」とウィルソン氏とカーケンダール氏は説明しています。
この巨大な群体だと、少なくとも数百万もの結合した臓器の役割をした個々が一緒になって餌となる深海の遊離生物をふるいにかけるために共に働きます。そしてここをつなぐ軸を通して捕獲した戦利品からの栄養を分け合います。その垂直な支脈は神経信号の通路としても機能しているのです。
何百万ものサイフォノフィアはこれを好物とするウミウシ(Cephalopyge trematoides)のように関わりのある他の変な生き物たちとともにうみに漂っている、とヘルム氏は考えています。
他の側近のメンバーにデメニギス(Macropinna microstoma)があります。デメニギスは液体で満たされたヘッドシールドを持ち、針の触覚を持つゾイドに潜り込んで餌を盗みます。
これはサイフォノフィアのホームである深海での目を見張る光景です。さらにこの動画でニンガルー峡谷の奇妙な生物を見ることができます。
私たちの惑星の海には信じられないような生命が膨大に隠れているというのに、宇宙人まで探す必要などあるのでしょうか?
reference:sciencealert