SNSで「#家にいよう」や「#StayAtHome」というハッシュタグを目にすることが多くなった現在、外出規制と社会距離戦略が新しい生活スタイルとなっています。そうしたなかで、仕事や教育、娯楽のためにインターネットを使う人々が増えており、ネットワークのインフラにかかる負担が増大。ユーザひとりひとりの利用可能な回線容量が減り、ネットの通信スピードが落ちているように思えることが多くのユーザのイライラの種になっています。
auやソフトバンクなどのインターネット通信会社がこのような変化に即座に対応することは無理かもしれませんが、あなたが自宅で利用するネット通信のスピードを上げる方法はいくつかあります。
インターネットの通信速度が低くなるのには多岐にわたる理由があります。ネットを使うためにはユーザが利用する機器と通信先が安定して接続している必要がありますが、通信先のサーバが物理的には地球の反対側に存在している場合もあります。
そのようなサーバに接続するまでには何百もの装置を経由しているのかもしれません。そのひとつひとつに故障する可能性があり、弱点もあります。通信回線のどこかで最適に機能していない箇所があったら、ユーザがネット利用をするにあたって、多大な影響を受けることになりかねません。
特にウェブサーバは、サービス妨害(DOS)攻撃などの外部要因によって影響を受けることがよくあります。DOSとは、データ交通量の負荷を過剰にかけることによってサーバに混雑状態を起こし、適切な機能を妨げることです。
自宅LANからはこのような事態を制御することはできないかもしれませんが、だからと言って、ネットの通信速度を改善する選択肢がないというわけではありません。
自宅LANのアクセス・ポイント(無線ルータ)は、お使いの機器とあなたが契約しているインターネット・サービス・プロバイダをつなげるものです。大半のアクセス・ポイントは限定された周波数帯域の無線信号を発するのですが、近所の家から発せられる信号などのような近くを飛ぶ電波の干渉を受けることがあります。「周波数帯域」はデータを伝送する、一種の仮想「パイプ」です。
あなたがお使いの機器は周波数帯域を自動的に切り替えることによって(通常、14の周波数帯域が利用可能)、干渉を避けるように設計されていますが、単一の周波数帯域に初期設定されているルータもあるので、自宅のルータの設定を確認してみると良いかもしれません。電波干渉を減らす方法をいろいろと試すときには、1GHz帯、6GHz帯、または11GHz帯が問題を最小限に抑えるのに役立つ可能性があるので(2.4GHz無線LANの場合)、これらの周波数帯域のいずれかを選ぶのが望ましいでしょう。
自宅のwifi通信を改善するためにやれることはほかにもあります。お使いのルータが5GHzのwifi信号に対応するものであるならば、5GHzに切り替えるとデータ通信率を上げることができますが、これは比較的短距離の通信でしか有効ではありません。受信範囲を最適化するためにはルータを置く場所を変えてみてください。(普通は中央の位置が適切です)
2.4GHzと5GHzのwifi信号はデータ伝送速度が違います。5GHzはデータをより速く送ることができ(23の周波数帯域が利用可能)、2.4GHzはより広い範囲で通信することを可能にします。速さを求めるのなら5GHzを選び、より適した範囲を望むのであれば2.4GHzに設定してみてください。
家のなかには、ルータに干渉する家電機器もあります。電子レンジやコードレス電話、ベビーモニターがルータと同じ周波数を使っていることがあるので、これらの機器の利用がネット接続に影響していないか確認してみる価値はあります。
コンピュータ・ウイルスを避けるためには、必ず、お使いの機器の更新状況を定期的にチェックし、ウイルス対策ソフトを使うようにしてください。また、特定のマルソフトウェア(ユーザの機器やサーバを損傷するために作られる悪意あるソフトウェア)を消去するためにはルータを再起動すると良いでしょう。マルソフトウェアのなかには、50ヶ国以上で50万以上のルータに影響を与えたVPNFilterといったものもあります。
以下のこともチェックしましょう。
ストリーミング配信は日中の通信要求の10倍の通信量を必要とすることがよくあるので、もし、あなたの家で何人もの人たちが動画をストリーミング配信していたら、限られたネット通信容量がすぐに使い尽くされてしまうでしょう。
ネット利用のピークの時間帯とその前後に家族のだれがどのくらいネットを使うかについてスケジュール表を作ってみてください。今回のパンデミックが起きる前は、就業終了後の夜の早い時間帯にネットが使われる傾向がありました。遠隔勤務や遠隔教育に移り変わった今、ネット接続が1日全体では10%、ピーク時には30%増えており、日中のアクセスが増加しているようです。
自宅以外では、ネットの接続性は「ベストエフォート型」計画に基づいている可能性が高いでしょう。ベストエフォート型では、一定の周波数帯域幅を他のユーザと共有します。言い換えると、あなたのいる地域で他の人々があなたと同時にネットにアクセスすると、あなたの携帯機器のネット通信容量が地域の人々と共有されます。周波数帯域幅を共有することで個々のユーザの通信速度が落ちるのです。
あなたはネットにアクセスする人の数をコントロールすることはできませんが、大きなサイズのファイルやコンテンツのダウンロードを通信量の比較的少ないピーク時以外や夜間に行うことで、ネットを効率的に使うことができます。
自宅でネットを利用する際の問題を解決したり、設定を最適化したりすることは可能ですが、残念ながら、あなたが自宅以外でネットの性能を実質的に向上させる手だてはありません。最善の選択肢は、契約しているインターネット・サービス・プロバイダのコールセンターに連絡をし、サポートを得ることです。
ここまでお話したことを振り返ると、私たちがインターネットを使うときには限られた資源を共有しているという事実を意識することが重要だとわかります。パスタやトイレットペーパーを買うときのようにあなたと同じくらいネット通信を必要としている多くの人々がいます。ですから、どうぞ賢く使ってください。