5月はアトラス彗星C/2019 Y4が夜空に壮観を展開する月のはずでした。悲しいことにアトラスが太陽に接近したことで崩壊を迎えた様子を最近ハッブル望遠鏡がとらえました。しかし太陽系は私たちが観測を楽しめるように代わりの光景を与えてくれたようなのです。
スワン彗星C/2000 F8がちょうど1ヶ月ほど前に発見され、見つけるためには空が十分に暗い必要があるものの、ぎりぎり肉眼で見える段階に達しました。うまくいけば、5月にかけて太陽に近づくにつれてさらに明るさを増していきます。アトラスのようにバラバラに崩壊しないことを願いましょう。
この彗星は現在地球から1億kmほど離れており水瓶座の中にいます。5月13日までは太陽に近づき続け、5月27日には太陽の最も近いところを通過します。
彗星はしばしば汚れた雪だるまと称されます。彗星には氷や塵が豊富に含まれ、太陽に近づきすぎると揮発性の物質が蒸発します。このドラマチックなガスの放出によって彗星はぼんやりとした大気をまとい長い尾を引くのです。
NASAが4月29日の天体写真オブ・ザ・デイに選んだジェラルド・レーマンさんが撮影したきらびやかな写真には、ぼんやりと光る彗星と微かな尾がたなびく様子が映されています。あとは天体ショーが見られるほどに輝きを増すのを待つのみです。
この新しい彗星は2020年3月25日に太陽観測機SOHOに搭載のスワンカメラが撮影した画像で発見されました。
reference:iflscience