詳細に入る前に、眼鏡のくもりを取る簡単な方法を紹介しておきます。
次になぜくもりが生じ、上記の方法が有効なのかを見てみましょう。
マスク着用は今コロナウイルスが流行する中で最も意見の分かれる話題の一つです。しかし科学的な根拠も増え、マスクでウイルスの感染をかなり防げることが明らかになりつつあります。つまりマスク着用は役に立つと言うことです。でも眼鏡をする人は、マスクをすると眼鏡がくもるという問題に気づいていると思います。
アメリカ視覚協会(the Vision Council of America)によれば成人の3人に2人が何らかの形で眼鏡を使っており、マスクと眼鏡がうまく合わなければ何も見えない羽目になりかねません。残念ながらこの場合物理法則が不利に働くのです。
1996年にくもりの原因を調べた研究があります。研究に携わったトム・マーグレンとクリス・オーウェン両氏は次のように述べています。「眼鏡をかけて涼しい所から暖かい所へ移動するとレンズ表面で凝縮が起こって『くもり』を生じる。くもりの解消にかかる時間はレンズの物理的性質と複数の環境要素によって決定される。」今回の場合凝縮は鼻や口から来る暖かい空気によって生じるため、残念ながらくもりは解消されることなく続くことになります。
そこでマスクをした時眼鏡のくもりを防ぎたいのであれば、息が眼鏡にかかるのを防ぐか、あるいはレンズにくもり止めの層を作るという2つのアプローチがあることになります。そしてそのどちらもが有効な方法です。
2011年イングランド王立外科医師会年報に掲載された研究に、眼鏡のくもりを防ぐ簡単な方法が紹介されています。この研究は「マスク着用時に眼鏡のくもりを防ぐ簡易な方法」という分かりやすい名称で、次のように説明しています。「マスク着用前に眼鏡を石鹸水で洗浄し、余分な水を振り落とす。次に眼鏡を自然乾燥するか、または柔らかい布で拭ってから装着する。これでマスクを着用しても眼鏡がくもることはない。」
つまり、査読済みの科学研究も石鹸を界面活性剤として使用することによる簡単なレンズのくもり防止策を教えています。ただこれが唯一の策ではありません。シェービングクリームも界面活性剤であり、同じ目的に使うことができます。無論専用の商品も市場に出回っています。
もう一つのアプローチは息が眼鏡にかかるのを防ぐことです。医師の中にはテープを使ってマスクを顔に密着させる人もいますが、このやり方は嫌う人も多いでしょう。もっと簡単なのはひもを交差させて密着度を上げる方法です。別のやり方として、小さく畳んだティッシュペーパーを使って呼吸による湿気をブロックすることもできます。ティッシュペーパーをブリッジの鼻の部分に動かないようぴったりと付ければ、それがブロックになって湿気は眼鏡まで届かず、問題解決です。
マスク着用は時に不快に感じることもあり、眼鏡をしていればなおさらです。しかし今は困難な時期であり、世界中がパンデミックの危機にさらされています。もしマスク着用で感染が防げて人命が救えるのであれば、間違いなく一考に値することだと思います。
reference:zmescience