2017年、学者らはジーランディアと名付けられた水没した陸地が大陸であることを確認しました。しかし今に至るまでその全容を地図にすることはできていなかったのです。
その大陸の形状や大きさなど今までになく詳細に地図に起こした、と月曜日にニュージーランドのGNSサイエンスの研究者たちが発表しました。その地図はウェブサイトに公開され、ユーザーが大陸を探検できるようにしました。
「私たちはニュージーランドや南西太平洋地域の地質画像を以前よりも正確で完全なものにして最新版を作成しました。」とこの地図作成を牽引したニック・モーティマー氏は述べています。
モーティマー氏は研究仲間たちとともにニュージーランド周辺の水深測量地図を作成して形状、深さ、海底、そして構造断面図を表したことで、ジーランディアの構造プレート境界がどこにあるかを示しました。
この地図によって数百万年前にどのようにジーランディアが形成され、水面下に沈んだのかが明らかになりました。
ジーランディアはおよそ500万平方キロメートルでオーストラリアの半分ほどの面積です。
しかしたったの6%ほどしか海面から出ていません。その部分がニュージーランドの北部や南島、ニューカレドニアの島を支えています。あとはすべて水中に沈んでいるため調査が困難なのです。
この水没した大陸をより知るためにモーティマー氏はチームメンバーとともにジーランディアとその周辺の海底の地図を作成しました。彼らが制作した水深図(下の図)によって大陸の山の高さや山頂部が水面からどのくらいあるのかがわかります。
地図は海岸線や領海線、海底の特徴も記されています。この地図は2030年までに地球全体の海底地図を作成する世界的な取り組みのひとつです。
GNSの科学者チームが作成した2番目の地図(下の図)は、海底に沈んだ大陸の地殻の種類、その地殻の年齢、重要な断層などを表しています。大陸性地殻(大陸を形成する古くて厚い地殻)は赤、オレンジ、黄色、茶色で表されています。一般的に若い海洋性地殻は青で表されています。赤の三角は火山の位置を示しています。
この地図はジーランディアが構造プレートのどこに位置しているかも示しており、どのプレートが沈み込みのプロセスによって他のプレートの下に押し込まれているか、またどのくらいのスピードでその沈み込みが起きているのかがわかります。
現在のジーランディアを支えている構造を研究することで、この大陸の成り立ちを知る手がかりを得ることができます。
ジーランディアという概念自体はほんの25年前に生まれたものです。 地球物理学者のブルース・ルイエンダイク氏が1995年に発案した造語です。
ルイエンダイクは、この言葉は新大陸を指すものではなくニュージーランドと約8,500万年前に古代の超大陸のゴンドワナ大陸がバラバラになって海面下に沈んだ地殻のことを指して言ったものだ、と以前Business Insiderに語っています。
「この造語を思いついたのは便宜上の理由からです。」とルイエンダイク氏は話しています。「ゴンドワナ大陸を見るとそれぞれの欠片は元々は同じものだからです。これら全てに名前を付け続ける必要があるのか?と思ったからです。」
ゴンドワナは古代に存在したパンゲアという超大陸が2つに分裂した時に形成されたものです。北部のローラシア大陸はヨーロッパ、アジア、北アメリカへと分裂しました。南部のゴンドワナ大陸は現代のアフリカ、南極大陸、南アメリカ、そしてオーストラリアへと分散しました。
地質学的な力によってこれらの大陸は移動し続けており最大の構造プレートである太平洋プレートがゆっくりと沈み込んだため、3,000万年から5,000万年かけてゴンドワナ大陸が分断されジーランディアは海中に沈められたのです。
これらの地図からジーランディアも他の7大陸同様に大陸であることがわかります。
2017年までジーランディアはマダガスカル島のように『マイクロ大陸』であると分類されていました。しかしモーティマー氏によると、ジーランディアは大陸チェックシートのボックス全てにチェックが付きます。明らかに境界が定義され、100万平方キロメートルを越える面積を占め、周囲の海洋性地殻よりも隆起し、海洋性地殻よりも分厚い大陸性地殻が確認されているのです。
したがってこの新しい地図は海底に沈む陸が8番目の大陸であるというさらなる証拠である、とモーティマー氏は付け加えています。
「もし地球の海の詮を抜くことができればジーランディアははっきりとその姿を現すでしょう。」と彼はScience news 2017に対してコメントをしており、さらにこうも話しています。「もしこれが海面下に沈んでなければ、ジーランディアはどのように認識されていたでしょう、大陸に違いありませんよね。」
reference:sciencealert