1垓年後の太陽に待っている悲惨な最期…

地球に最も近い恒星である太陽は半径が約70km、質量はなんと地球の約33万倍にもなります。そのため、人間が肌身で感じうるいかなる感覚をもってしても、太陽の巨大さを実感することは非常に困難なことでしょう。

太陽の構造は大きく分けると中心から核、放射層、対流層と分類されるのですが、一番外側の対流層だけでも厚さは地球16個分にもなるのです。毎秒約500万トンの水素が燃焼する太陽は、まさに超巨大原子炉。ごうごうと輝くことで、地球に生命の鼓動を刻み続けています。

太陽の活動は約50億年にわたって続いていますが、もちろんこの輝きは永遠ではありません。星にも人間と同じように寿命があるのです。太陽はいつ寿命をむかえるのでしょうか?太陽が死んだ後、地球にはなにがおこるのでしょうか?

今回は、太陽が死んだ後何が起こるのかについてご紹介したいと思います。

太陽のエネルギー源は中心核における核融合反応によるものです。中心核では温度と圧力が非常に高く、陽子が高速度で飛び交っており、これらが衝突して合体することで新たな原子核を作っています。

合体と崩壊を連鎖的に繰り返しながら、最終的には水素の原子核がヘリウムの原子核になる際に生み出される莫大なエネルギーによって太陽は輝くことができています。

ですが、当然この水素が無限にあるわけではなく、約50億年後には太陽の中心部の水素が燃え尽き始めるのです。すると、太陽の巨大な重力によって中心部に圧縮される気体を外側に吹き飛ばすだけのエネルギーが得られなくなり、巨大な重力によって収縮を始めます。

太陽の外側にはまだ水素が残っているため、この外側の水素が収縮することで互いに衝突が起こりやすくなり、活発に核融合反応を起こすようになります。中心部が燃え尽きた太陽では、表面のガスは、ヘリウムの重力収縮のエネルギーと核融合のエネルギーによって吹き飛ばされていき、非常に大きくなっていきます。

そして、太陽は赤色巨星へと変化を遂げると考えられています。このとき太陽の外側は現在の200倍程度にまで膨張し、水星と金星は赤色巨星となった太陽に完全に飲み込まれることになります。

では、我々人類が住む地球はどうなってしまうのでしょうか。水星や金星のように太陽に飲みこまれて消滅してしまうのでしょうか。

地球の公転軌道の半径は約1.5億キロメートルです。太陽が150倍程度まで膨張するとほぼ地球の公転軌道までやってくることになります。そのため、地球も太陽に飲み込まれる運命にあると考えられていました。

ところが、最近では太陽が赤色巨星になった初期に質量放出が起こり太陽の重力が減少することで地球以降の惑星の公転軌道が外側に移動するため、地球は飲み込まれない可能性が高いことが明らかとなっています。

ちなみに、太陽が赤色巨星になった初期に起こす質量放出により公転軌道が外側に移動したとしても、残念ながら水星と金星は太陽に飲み込まれてしまうものとみられています。

また、太陽に飲み込まれないとはいえど、太陽と地球の距離が変わることに違いはありません。これにより、地球大気のほとんどが宇宙空間に散逸し、地球表面には溶岩の海が広がることになると言います。

地表の温度は2000度を超える状態になり、バイエンススーツと融合した新人類が誕生しない限り、とても人間の住める環境ではなさそうです。

火星以降の惑星も表面温度が上がり、木星や土星の衛星が生命存在にほどよい環境になるかもしれません。前回落下したエウロパの分厚い氷が溶けて、地球のような海を持つ天体へと変化している可能性もあるかもしれません。

しかし、例え生命体が反映するようなことがあったとしても人類のような知的生命体にまで進化することはないでしょう。なぜなら、あまり時間がないためです。

地球では最初の生命が発生して人類に進化するまで40億年程度の時間がかかりました。ですが、太陽が赤色巨星になってから20億年で太陽の中心部では水素をほとんど使い果たし、燃えかすである大量のヘリウムが残されることになるのです。

これにより、太陽の中心核は再び収縮を始め、外層のガスを惑星状星雲として流出させて白色矮星へと進化してしまうでしょう。白色矮星になってしまうと直径は地球と同程度かやや大きいほどに縮小し、非常に高密度な天体となります。

太陽の中心核において、ヘリウムが炭素に変わる核融合反応が行われていた時の余熱と重力による圧力により、かろうじて光と熱は発している状態でしょう。

白色矮星になった太陽にはもはや核融合反応を起こすエネルギー源も無く、ゆっくりと表面温度が下がり冷えていくだけの天体となります。灼熱の地獄と化した地球もただの岩石惑星となり、寿命を終えた太陽の周りを公転し続けることになるでしょう。

その後、数兆年以上の時間をかけ、死んだ太陽は、蓄えていたエネルギーが尽きてしまい徐々に光を放出することができなくなります。そしてついに肉眼では太陽を見ることは出来なくなってしまうでしょう。

このころには、木星以降の惑星がもつ衛星の地熱も消滅しているため、万が一生命体が誕生していたとしても、完全に死滅することになります。さらに1000兆年ほど経過すると太陽はとうとうあらゆる電磁波を放出しなくなる黒色矮星の状態になるまで完全に冷えきってしまうのです。

地球を含めた太陽系の惑星は、他の恒星から届く光を除いてほぼ漆黒の闇の中、黒色矮星になった太陽の周りを公転し続けることになります。

そして1垓年後には、長い間、黒色矮星と化した太陽と地球以降の惑星がお互いに重力波を出し続けた結果、軌道減衰が起こってお互いに接近し、最終的には黒色矮星と化した太陽と衝突して消滅することになります。

太陽と他の全ての惑星が合体した真っ暗な地球ほどの大きさの星が宇宙空間に漂っているだけの状態となるのです。これが太陽系の最終的な姿となります。もっとも、これは1垓年もの長い間宇宙をさまよい続ける太陽系が、他の天体やや太陽系内の惑星系と一切衝突もしないという仮定を置いた場合でのお話です。

とはいえ、私たち人間の寿命はせいぜい100年ほど。1垓年どころか、50億年後の太陽の寿命を心配する必要もないでしょう。



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