人間が音楽を作り出すようになって以来、嫌な音楽というものも存在してきました。嫌な音楽を奏でる原因は1つしかありません、下手くそなミュージシャンです。
最近ではノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンといった比較的新しい発明もあるにもかかわらず、嫌な音楽をいまだ避けることはできない世の中です。食料品店、ジム、通りがかりの車などさまざまな場所で設置されているサウンドシステムから常に流れてくるのです。
そして現代なら下手なミュージシャンには制作依頼をしなくなるだけです。しかし中世ヨーロッパでは the Ripley’s Believe It or Not video aboveの動画で紹介しているように『汚名の笛』という実際は楽器ではない器具を芸術犯罪の罪を罰するために使用していたのです。
「この器具、鉄製の重い笛のしかけを知ったらあなたはきっと演奏したいとは思わないでしょう。ミュージシャンの首に固定するのです。」とClassic FMにマディ・ショウ氏が記事を投稿しています。
「ミュージシャンの指はキーに固定され、まるで演奏しているような格好になります。そしてさらに屈辱をあたえるためにこの笛を装着したまま街中をパレードし、街の人たちは腐った食べ物や野菜を投げつけるのです。」そのような運命をたどる可能性がわずかでもあることで、昔の音楽を志すこどもたちは反復練習をサボることをためらいました。
ローテンブルク中世犯罪博物館やアムステルダム拷問博物館で見ることができるこの汚名の笛を見ていると、現代のミュージシャンなら誰がこの刑に値するかと考えてしまいます。Guardianのデイヴ・シンプソン氏は『バカげた名前のバンドは全部』、『60代を超えた先生と呼ばれるミュージシャン全員』、『The X ファクター(イギリスのオーディション番組)に出たことあるようなミュージシャン全員』などがこの刑にあたるだろうと話しています。
現代ではこのようなミュージシャンは残酷であり得ない罰に文句を言うでしょう。しかし、音楽に関する拷問器具について言えば、汚名の笛はギリシャの『ファラリスの雄牛』という真ちゅう製の雄牛の胴体に閉じ込めて火炙りの刑にすることで音が鳴るという拷問器具よりはよっぽどましです。
歴史的な工芸品としてはあまり知られていませんが、汚名の笛は文化資本として近年復活を遂げました。フィンランドのFlute of Shameというロックグループの名前の由来もこの笛なのです。バンドメンバーはViceのジョシュ・シュナイダーとのインタビューで「アムステルダムを訪れた時にバナナバーを探していたら拷問博物館を見つけて入った。」ここは歓楽街の有名スポットとして知られた場所です。
「そしてこの器具を見つけて立ち止まったんだ。」当然、同様に鉄の処女を意味する中世ヨーロッパの拷問器具の名前をバンド名に持つアイアン・メイデンとは比較されますし、報道熱心さゆえにシュナイダー氏はどちらのバンドがギターの早弾き勝負に勝つと思うか、とFlute of Shameに質問をぶつけます。「たぶんアイアン・メイデンかな」と彼らは答え、こう聞き返しました。「でも彼らはハッピーなのかな?」
reference:openculture