銃で撃たれた30才の女性が変わったヒーローのおかげで命を救われました。そのヒーローとは、胸のシリコンです。女性はカナダ人で、道を歩いている時左胸に「熱と痛み」を感じたといいます。見ると血が出ていたのですぐに救急外来を訪れたところ、そこから病院の外傷センターへ搬送されました。
医師の所見では近距離から火器で胸を撃たれたものの、弾丸がシリコンインプラントに当たって心臓から逸れたとのことです。「Plastic Surgery Case Studies」に掲載された事例報告の中で医師は「シリコンインプラントが弾道を逸らせて女性の命を救った」とし、女性は「苦痛もなく良好な状態」だと述べています。
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左胸に1つだけある銃創と高精細CTスキャンの結果から、弾丸はまず左胸に入って「破片と空隙」を残し、シリコンインプラントに当たって方向を変えた後、右胸に入って右のインプラントが「完全に跳ね上がった位置」になったことが分かりました。
胸部周辺に他の損傷がないことを確認後、インプラントは両方とも摘出されました。医師はこう述べています。「弾道入口の臨床所見とレントゲン結果から、弾丸が方向を変えた唯一の理由は左胸のインプラントだと言えます。インプラントは心臓と胸腔を覆っているため、これで命が救われたのです。」
豊胸手術は形成外科で最も多く行なわれる手術の一つで、美容上の理由から胸を大きくするほか妊娠、癌による乳房切除、性転換・適合化後の再建手術として実施されることもあります。
2018年だけでも32万9千人以上のアメリカ人が豊胸手術を選択しましたが、この人数は18歳〜34歳の人口の半数近くにあたります。インプラント手術を受けた女性の数と毎年生じる女性への銃犯罪件数を考えれば、胸で銃弾を逸らすケースがもっとあってもよさそうなものだと報告は記しています。
科学的根拠のある文献においてそうしたケースは4件しかなく、そのうち命が救われたと言えるのは2件に留まります。医師団はこのように述べています。「一般に豊胸手術は生活の質を向上させる目的で受け入れられており、最近まで救命の観点はありませんでした。興味深いことに、世界では何百万人もの女性がインプラント手術を受け何千人もの女性が銃犯罪の被害に合っているのに銃器の傷害によるインプラント損傷の報告はほとんどなく、前述の数件に留まっています。」
医師は女性に対して向こう半年はインプラント手術を受けないよう忠告しています。捜査は続いていますが、現時点で武器は見つかっておらず犯人も特定されないままとのことです。
reference:iflscience