10代の男性が自分の服を仕立てている最中に縫い針を飲み込んでしまったことに、彼は気づきもしませんでした。後に医師が彼の体内からそれを見つけた時にはみな驚きました、なんと心臓にあったのです。
7月29日にThe Journal of Emergency Medicineに掲載された症例報告によると、17歳の彼は3日間にわたる胸の痛みの末、緊急治療室を訪れました。彼は鋭い痛みが背中にまで広がり、横になったときや深呼吸をすると痛みが増すと訴えました。
心電図検査の結果異常が見られたため、医師は心筋や周囲の膜が炎症を起こす心膜心筋炎を疑いました。血液検査では心臓損傷を示す血中タンパク質の増加が見られました。
CTスキャンで彼の胸を確認すると、『線状の金属の異物』がかれの心臓にあることがわかった、と報告書に記載されています。3.5cmほどの長さのその異物が右心室(肺に血液を送る心臓の右下の部屋)から突き出ていたというのです。
最初この10代の患者は異物など一切口にしていないし、胸に身体的外傷を負ったこともないと医師に話していました。しかし後のインタビューで、彼は自分で服を作り、時には縫い針を口に咥えることがあると明かしました。それでも、縫い針を飲み込んだという意識はなかったそうです。
彼は心臓切開手術を受けて異物を取り出したところ、それは紛れもなく縫い針でした。
過去にも心臓に異物が発見された事例はありますが希で、特に子供や10代では非常に稀である、と報告書にあります。2016年には48歳の女性の胸に針が突き刺さり心臓に達し脳卒中を起こしたと中国の医師が報告していることをLive Scienceで以前に紹介しました。
患者が気づかずに針を飲み込んで心臓に達したという症例は初めてのことです。
医師らは針が胃から直接心臓に移動したものと考えていますが、食堂や小腸など別の消化器官巻から心臓に移動した可能性も考えられる、とこの症例報告の第一著者でありウスター・メモリアル・メディアカル・センターの助教授のボニー・マシューズ博士はLive Scienceの取材に答えています。
彼が言うには、この症例報告は鋭いものを飲み込んだ際の治療についても触れているそうです。最近のガイドラインでは、症状が出ている場合は鋭利なものを取り除いた方がいいが、症状がない場合については明記されていないのです。
飲み込んだ異物が小さくて症状が出ていない場合には、胃腸を通り抜けて合併症を併発することはなく、スキャンをくり返し行い経過観察するだけでもよい、という医師もいます。
しかし今回のケースは「異物を飲み込んだことで合併症を引き起こす恐れがあった」と著者は報告書に記載しています。「ここで説明したように、異物が移動して合併症を引き起こすことを防ぐためには細く鋭利な胃の異物は取り除くことを真剣に考えなくてはいけません。」と報告書は締めくくられています。
運良く、この10代男性は術後順調に回復し、マシューズ氏は「私の知る限り合併症も併発していませんでした。」と語っています。
reference:sciencealert