愛するペットであったハムスターが飛行機への搭乗を拒否されてトイレに流される

大学から南フロリダの実家に帰る前、ベレン・アルデコサーさんは特別ゲストといっしょに搭乗できるか確認するためにスピリット航空に2度電話をしました。特別ゲストはペットのドワーフ・ハムスターのペブルズです。

問題はないとスピリット航空は答えました。ところが、アルデコサーさんがボルティモア空港に到着すると、スピリット航空はこの小さな動物が搭乗することを拒否したのです。

友人は皆、車で何時間もかかる大学のキャンパスにおり、アルデコサーさんは途方に暮れました。スピリット航空の係員がペブルズをトイレに流すことを勧めたとアルデコサーさんは言っていますが、航空会社側は否定しています。パニックに陥りながらも、医療処置に早急に対処するために実家に帰る必要のあったアルデコサーさんはレンタカーを借りようとしたものの、うまくいかず、何時間も苦悶した末にあり得ないことを行いました。

ペブルズをトイレに流したのです。

「ペブルズは怖がっていました。私も怖かったです。便器に入れようとしたとき、怖くてたまりませんでした」とアルデコサーさんは言っています。「感情的になって泣いてしまいました。トイレの個室の中で少なくとも10分は座り込んで泣いていました」

マイアミビーチに住む21歳のアルデコサーさんは現在、スピリット航空に対して訴訟を起こすことを検討しています(訳注:記事が掲載された2018年2月当時)。

ペブルズは心理支援動物としてかかりつけ医によって認定されたペットであったのにスピリット航空から相反する指示をされ、最終的には、ペブルズに関して苦渋の決断をするよう迫られたとして提訴したいということです。この事件が起きた数週間前に心理支援クジャクがユナイテッド航空に搭乗拒否された話が話題になりましたが、アルデコサーさんはマイアミヘラルド紙の取材に対して自分の体験を語ってくれました。

サウス・フロリダの弁護士、アダム・グドマン氏はアルデコサーさんのケースはかなり異なるものだと述べています。「他の乗客に危険を及ぼす可能性のある巨大なクジャクとは違います。アルデコサーさんの手のひらに収まるほど小さくて、危害を与える心配のない、かわいらしいハムスターなのです」と強調しています。

スピリット航空の広報担当者は、同社がペブルズの搭乗を許可するとアルデコサーさんに誤まって伝えたことは認めました。しかし、社員がアルデコサーさんに空港のトイレでペットを処分するという選択肢を勧めたということは否認しました。

「誤解のないように申し上げたいのは、当社の係員がどの時点においても、こちらのお客様に(このような件に関しては、ほかのいかなるお客様に対しましても)動物をトイレに流すなどの傷つける行為をお勧めした事実はないということです」

2017年11月21日にこの出来事があった後、アルデコサーさんはスピリット航空に苦情を訴えるメールを送ったところ、特定の都市から行き先を選べる無料フライト・クーポンの提供の申し出を受けましたが、辞退したということです。

家庭で飼われているおとなしいペットを航空機に乗せることを許可する米国連邦法を悪用する乗客がいると他の乗客が不満を漏らすことが増え、近年は搭乗する動物たちが身代わりのようになって物議の標的にされるようになっています。アメリカン航空では、この法律で定められた動物や支援動物を連れた乗客が2016年〜2017年までの間に40%余り増加したという記録があります。

アルデコサーさんのケースが世間の注目を集めてから数週間以内に、数社の航空会社が同法の該当動物と心理支援動物の搭乗に関する規制を厳しくする動きを見せました。

米運輸保安庁はハムスターの持ち込みは問題がないとしています。同庁の広報担当者、サーリ・コシェッツ氏はこのように言っています。「ハムスターは検問所で止められることはありません。通常は、乗客がハムスターを抱え持って金属探知機を通り抜け、その間にハムスターのケージをX線検査装置に通します。こうすることでハムスターが放射線にさらされずに済みます」

ハムスターの搭乗を認めるかどうかは各航空会社の裁量に委ねられています。けれども実際には、アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空などの主要な航空会社は安全上および健康上の懸念に配慮して齧歯類(げっしるい)の持ち込みを許可していません。

心理支援動物と言えば普通は犬や猫なのですが、リスや羊も含まれるようになりました。

アルデコサーさんは、ペブルズは本当に心を慰めてくれるコンフォート・アニマルであり、かかりつけ医がそれを証明する手紙を持っていたと言っています。ドワーフ・ハムスターは成長してもせいぜい体長が10センチほど、体重は60グラム弱にしかなりません。標準的な携帯電話の方が大きく、2倍も重いのです。

マイアミビーチ高校の卒業生であるアルデコサーさんは、前年の2017年にペンシルベニア州のチェンバーズバーグにあるウィルソン大学に転入する前はフロリダ州のバリー大学でバレーボール選手として活躍していました。故郷から遠く離れ、さみしい思いをしていた最初の学期にアルデコサーさんの首に痛みのあるゴルフボール大の腫瘍ができ、ガンかもしれないという恐れを抱くようになりました。

秋も深まったころ、消耗しきったアルデコサーさんは気を紛らすものが必要だと考え、ペットコウ・ペンシルベニア店で穏和でおとなしいペブルズを買いました。ペブルズは緑色の回し車付きの小さなケージに入れられ、アルデコサーさんの寮の部屋に住むことになりました。ご主人がケージに顔を近づけるといつもチョコチョコと走って来て、あいさつをするのでした。「ペブルズは愛情豊かな子でした。私が誰かを必要としていたと知っていたかのようでした」とアルデコサーさんは振り返っています。

reference:miamiherald