アメリカで警察に殺害された黒人の数が白人の3倍以上であることが明らかに

警官の暴力に対する抗議デモは続いており、アメリカでは白人と比較して3.23倍もの黒人が警官の暴行によって死に至っているという統計が出ました。

マサチューセッツ州のハーバード大学公衆衛生学部の研究者チームは、独自に検証した包括的なデータベースFatal Encountersのデータを使用しました。2013年から2017年の間に警官が関わった主に銃弾による死亡事件の記録5,494件にフォーカスして分析を行いました。

この情報はアメリカ合衆国大都市統計地域(MSA)の全地域をカバーし、この分野における地理的精度が以前よりも優れているので、人種と地域を包括して結論を導き出すことができます。

「全国的に黒人が警官に殺害されるリスクは高いのですが、地域によってはその比率が異常に高いのです。シカゴに住む黒人は白人に比べて殺害される率が650%も高いのです。」と論文共著者のガブリエル・シュワルツ氏とジャクリーン・ヤーン氏は声明の中で話しています。

このような白人と黒人の不平等差が大きい地域(アッパー・ミッドウエストとノースイースタン)は警官が関与した死亡事件の発生率が低くMSAの結果と一致しています。しかし、MSAのなかで最も格差が小さい地域(アトランタ・サンディスプリング・ロズウェル大都市統計地域)では、黒人殺害事件発生率は白人に比べて1.81倍も高いのです。この統計は地域によるバラつきが大きいのです。

「警官の暴行による死亡事故のリスクは地域によって大きく異なります。ある地域では死亡率はほかの地域の9倍にもなることから、このような死は避けることが可能であること、なぜ全国で警官の暴行に抗議活動をしているのかを示唆しています。とシュワルツ氏とヤーン氏は述べています。

現時点では研究チームは警官が関与した死亡事件の包括的な情報をもとにしていますが、考慮するべき点がいくつかあります。たとえば、事件すべてが報告されているわけではありません。また自己申告制ではないため人種や民族を誤認している可能性や、死因を誤って(不慮の事故なのか故意なのか)書かれる可能性もあります。しかし、これらを考慮してもなお結論は変わりません。警官の人種差別が黒人に致命的な影響を及ぼしているのです。

「この研究では、これらは歴史に根付いた人種差別であることを指摘しており、例えば人種によって住民を隔離する、人種によって違う刑事司法政策、特に南西部では国内の異なる地域を横断しての異人種を追う警察業務だけでなく、反移民人種差別もあることが明らかになっています。とシュワルツ氏とヤーン氏は PLOS Oneに掲載の論文を締めくくっています。

reference:iflscience



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