今からおよそ50億年後のある瞬間、水素を使い尽くした太陽が膨張して赤色巨星となり、生涯の最終段階に入ります。
太陽の終焉が太陽系にとって大イベントとなることは間違いありません。
しかし、オリオン座の一角を成すベテルギウスの最期に比べると、そのインパクトにかけることでしょう。
巨大な恒星は激烈な状況下で膨張して希少な赤色超巨星となり、最後には超新星爆発というビッグイベントを起こして吹き飛ぶのです。
そしてベテルギウスは非常に老いた星であり、いつ超新星爆発を起こしてもおかしくないと言われています。
ベテルギウスはいかにして最期を迎えるのでしょうか?ベテルギウスが超新星爆発をすると地球に影響はあるのでしょうか?
今回はベテルギウスが超新星爆発を起こすとどうなるのかについてご紹介したいと思います。
地球から約640光年の宇宙にベテルギウスは存在しています。
その大きさは、太陽系の中心から水星、金星、地球、火星の軌道、場合によっては木星の軌道までにも達するほど。
夜空に見える星としてはトップテンに入る明るさを持っています。
ベテルギウスはオリオン座アルファ星としても知られる、非常に大きな赤色超巨星であり、太陽の直径の700倍から1,000倍の間で大きさが変動します。
人類が知っている天の川銀河の星のなかでも特別に大きな星のひとつです。太陽のおよそ1万倍の明るさの可視光線を放っていますが、もしも人の目が放射線のすべての波長を見ることができたら夜空で最も明るい星となります。
大きさと明るさが変化するのは、この巨大な星が一生の終わりに近づいているためです。
誕生してから1,000万年、ベテルギウスはすでに年老いた赤色超巨星。
太陽は後60億年ほど存続すると予測されていますが、ベテルギウスは太陽のような小さな恒星より速く水素を燃やし尽くしてしまうため、存在期間が大幅に短くなるのです。
遠くにありながらも、この星が私たちにとって特別な意味を持つのは、約100万年以内に超新星爆発を起こし、そのフィナーレを地球から見ることができるためです。
赤色超巨星となったベテルギウスは重い元素が次々に融合していくことにより、中心核が重くなりすぎて自身の重力を支えきれなくなります。
最後の瞬間にはベテルギウスの核が内側に崩壊し、巨大な爆発を起こします。最初にぱっと閃光を放った後、数週間にわたって輝きを増していき、太陽の数十億倍の明るさに達します。
地球からは月と同じくらい明るく見え、昼間でも目視できる可能性があります。爆発は2、3週間、あるいは数ヶ月間続き、最終的に宇宙の暗闇に消えていくと考えられます。
2019年12月にベテルギウスが急激に明るさを失っていることが明らかとなり、まもなく超新星爆発をするのではないかと話題となりました。
とはいえ、超新星爆発が地球から見ることのできるのはこれが初めてとなるわけではありません。
それほど遠い過去ではない1604年に「ケプラーの星」が3週間にわたって超新星爆発を起こし、昼間も見えるほど明るく輝いたのです。
それ以来、天の川銀河の外側では多くの星が爆発しているものの、ベテルギウスほど近いところでは起きていません。
科学者によると、超新星爆発は25光年以内の距離で起きない限り、実質的な問題を発生させることはないと言い、幸いなことにベテルギウスの爆発による放射が地球に影響を与えることはないようです。
もし、ベテルギウスの変化を見逃したくない場合、オリオン座の左上の角で目立って光っている星を見つけてください。
神話の狩人オリオンの肩でオレンジ色に輝いているのがベテルギウスです。観測しているときに覚えていてほしいことがあります。
あの瞬く遠い光の源はすでに爆発しており、激変する天体が放った光が地球に向かっている途中なのかもしれないということを。
一生に一度の壮大な天体ショーが地球の夜空で開催される、その日に向かって。